ドイツでの生活について

ドイツのグローバル企業で奮闘するひとのブログ。海外就職のコツ、海外求人の探し方、海外(ドイツ)生活の模様を執筆。

ご冗談でしょう、ドイツよ(1)

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初めの2ヶ月は何もかもが新鮮だったドイツも、だんだん飽きてくる。ちょうど4ヶ月目くらいだ。

東京でOLをしていると、グルメが向こう3日の気分を左右する一大トピックであるが、こちらに来てからはめっきりそんなことがなくなった。「味が薄い」「高い」「食べきれない」の三重苦で、外食の回数がめっきり減った。当たり前だが、セブンもファミマもない。柔らかくて溶ける白いパンのサンドイッチも、からしマヨビーム付きの一平ちゃん焼きそばも、パッケージが空気でパンパンに満たされた明太子マヨおにぎりも食べられない。味云々の前に、そういう、丁寧な包装されたホコリのついていない商品自体、懐かしく感じる。

ドイツでは食は諦めなければならない。食を諦めれば、1日7時間労働で年休25日全消化の労働環境が手に入るのだから、できないことはないのだ。諦めるしかないのだ。

お金のない学生のメインディッシュといえばドネルケバブ。あちらこちらに店があり、それぞれ味も異なるので、どの店が美味いか必ず聞き込み調査をしましょう。量も脂も多いので最初は食べきれる筈もなく、そのくせ4EUR程度はとられる。セブンでパスタサラダを買って帰る気分でドネルを頼むと、お財布とカロリー的に見合わない羽目に陥る。だからしばらく嫌厭していたけれど、滞在5ヶ月目にして初めてドネルを美味しいと感じてからは、かの地の食に対する絶望から一筋の光が見えた瞬間で、人間の適応能力を実感した。

ドイツ料理はといえば、肉とジャガイモの煮込み料理のオンパレード。なおかつ最終的な味付けは、テーブルの塩コショウで各人整えてくださいスタイル。5ツ星のレストランに行っても、シェフがこだわり抜いた味を100%お届けする気はハナからない。1皿10EUR程度、水はないので何かしら飲み物を頼まなければ、行く末お腹が苦しくなる。そうすれば15~20EUR程度は飛ぶ。また、夜9時以降に家に帰ると、トラムの本数が一気に少なくなっている。これは通勤通学時間内と時間外で運行本数を調整しているためで、遅くなれば15分に1本とかが普通。そういう金銭的時間的諸々を考えると、食事して帰るのも面倒くさくなる。夜中の1時まで3分おきに山手線来てたのが懐かしい。

ドイツ人の舌を信じてはならない。味付けも基本テーブル塩コショウなので、要は味覚が発達していない。日本に行ったことがない奴が紹介する日本料理屋なんか、そんな手榴弾は寿司パーティでもオーガナイズして速攻投げ返せ。

ヒップスター料理は美味しい。ハンバーガー、メキシカン、窯焼きピザ、日本料理。大量ヒゲの黒縁メガネの店員が一人でもいたら、試してみる価値はある。彼らにはアメリカの影響も色濃いので、アメリカナイズドされた日本人には馴染みやすい。

そして何より、マクドナルドやKFC、バーガーキングなどのグローバルチェーンは安定だ。クラブ帰りの鉄板はマックのチーズバーガー。1.2EURで渋谷でいつもパクついていた半分溶けたチーズが食べられるのは至福この上ない。ホームの味以外の何物でもない。さらに、チキンバーガーはマヨネーズが入った日本版とは異なり、スイートチリソースが入っている。マックでまさかのアジアン風テイストに出会えるのだ。惜しむ術なく、マックはもはやママの味である。

渡欧当初は、毎日納豆を持参して米を食べる同僚を見て、外国に馴染めないってかわいそうだなと思っていた。隠すまでもなく、ルーツは簡単には消せないのだ。私は日本食を頑なに3ヶ月摂取しなかったら、自律神経が若干狂った。来る前は考えもしなかったが、習慣というものはそういうことらしい。